基礎知識

スポーツ栄養とは?アスリートの食事の基本と必要な栄養素

2026.10.16 公開 aiwell 栄養サポートチーム(管理栄養士・公認スポーツ栄養士)

スポーツ栄養とは、アスリートやスポーツをする人が、パフォーマンスを最大限に発揮するための食事や栄養についての考え方です。基本は一般の人の健康的な食事と同じですが、アスリートは運動で使う分だけ多くのエネルギーが必要になり、運動量に合わせて食べる量や食べる内容、タイミングを変える必要があります。

この記事では、小学生からトップアスリートまで共通するスポーツ栄養の基本として、一般の人とのエネルギー消費量の違い、五大栄養素の役割、毎食そろえたい5つのカテゴリー、運動時間に合わせた食事のタイミングを紹介します。

1.スポーツ栄養とは?一般の食事と違う3つのポイント

スポーツ栄養は、特別な食品を食べることではありません。「どれだけ(量)」「何を(内容)」「いつ(タイミング)」食べるかを、運動量と自分の身体に合わせて考えることです。

ⅰ. 量:運動で使う分までエネルギーを摂る

1日の総エネルギー消費量は、「基礎代謝量」「食事誘発性熱産生」「身体活動量」の3要素から構成されており、身体活動量には運動も含まれます※1。アスリートは日常生活での活動量に加えて、練習や試合などの運動で使うエネルギーが多くなるため、運動で使った分だけ食べる量を増やす必要があります。

ⅱ. 内容:5つのカテゴリーをそろえる

高いパフォーマンスの発揮や身体づくり、日々の体調管理には、五大栄養素がすべて必要です。

そのために、毎食5つのカテゴリーをそろえることが大切です。

ⅲ. タイミング:運動時間に合わせて、栄養摂取のタイミングを考える

アスリートはより多くのエネルギーや栄養素を必要とする一方で、激しい運動や長時間の運動の最中は、消化・吸収の働きが落ちることがあり※2 ※3、1度に食べられる量にも限りがあります。そのため、1日の中で「いつ食べるか(タイミング)」が非常に重要です。

2.アスリートは何が違う?1日のエネルギー消費量の仕組み

私たちが1日に消費するエネルギーは、大きく3つに分けられます。

  1. 基礎代謝量:呼吸や体温の維持、心臓を動かすなど、生命を維持するために最低限必要なエネルギーで、一般の人では、1日の消費量のなかで最も大きな割合を占めます。
  2. 食事誘発性熱産生:食べたものを消化・吸収するときに使われるエネルギーです。
  3. 身体活動量:通勤・通学や仕事、家事、移動などの日常の活動と、運動で身体を動かすことで消費されるエネルギーです。

一般の人もアスリートも、この3つを合わせたものが1日のエネルギー消費量になります。

アスリートは、身体活動量のうち練習やトレーニングなどの運動で使うエネルギーが大きくなります。練習の量や強度、競技の種類によって違いはありますが、1日の消費量は一般の人よりも大幅に多くなります。

一般の人とアスリートの1日のエネルギー消費量の違い。どちらも基礎代謝量・食事誘発性熱産生・日常の活動からなり、アスリートはこれに運動・トレーニングの分が加わって消費量が多くなる

3.アスリートに必要な栄養素

五大栄養素の役割は、「エネルギーになる」「身体をつくる材料になる」「身体の働きを調節する」の3つです。1つの栄養素が2つ以上の役割を持つこともあります。

五大栄養素とは、炭水化物(糖質+食物繊維)、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルです。

エネルギーになるのは、炭水化物(糖質)・たんぱく質・脂質の3つです。1gあたりのエネルギーは、糖質とたんぱく質が4kcal、脂質が9kcalです※1。ビタミンとミネラルはエネルギーになりませんが、エネルギーをつくる反応や、骨・血液をつくる働きに関わります。

栄養素 主な役割 多く含む食品の例
炭水化物(糖質) エネルギー源、脳や筋肉の燃料になる 米飯、パン、麺、餅、バナナ
たんぱく質 筋肉・血液・酵素などの材料 肉、魚、大豆製品(納豆など)、卵
脂質 エネルギー源、細胞膜やホルモンの材料 バター、植物油、肉の脂身、魚の油、ナッツ類
ビタミン 身体の機能を調節 緑黄色野菜(ほうれん草・ブロッコリー・にんじん)、果物(みかん・キウイ)
ミネラル 骨や血液の材料、体液の量の調節 カルシウム:牛乳・乳製品
鉄:赤身肉、あさり、小松菜

4.アスリートの食事の基本は「5つのカテゴリー」をそろえること

五大栄養素をそろえて摂るために、毎食「主食」「主菜」「副菜」「果物」「牛乳・乳製品」の5つのカテゴリーをそろえます。 これらを意識することで、アスリートに必要な栄養素をまんべんなく補うことができます。

アスリートの食事の基本形。主食(ご飯・パン・麺・もち、主に糖質)、主菜(肉・魚・卵・大豆製品、主にたんぱく質)、副菜(緑黄色野菜・きのこ・海藻、主にビタミン・ミネラル)、牛乳・乳製品(牛乳・ヨーグルト・チーズ、主にカルシウム・たんぱく質)、果物(みかん・キウイ・バナナ、主にビタミンC・糖質)を毎食そろえる

5.いつ食べる?運動時間に合わせた栄養摂取のタイミング

アスリートは一般の人より多くのエネルギーや栄養素を必要とします。一方で、激しい運動や長時間の運動の最中は、筋肉に多くの血液が送られて胃や腸への血流が減り、消化・吸収の働きが落ちることがあります※2 ※3。また、1回の食事で食べられる量には限りがあります。
そのため、必要な栄養を無理なく摂るには、「何を」「どれだけ」に加えて、「いつ食べるか(タイミング)」を考えることが大切です。

運動前:エネルギーを満たしておく

主食・主菜・副菜などの5つのカテゴリーをそろえた食事は、運動の3〜4時間前までに済ませておくのが理想です。
また、食事から運動まで4時間以上空く時は、運動の1〜2時間前に、おにぎりやバナナ、カステラなど消化のよい糖質がおすすめです。運動まで1時間を切ってから何か口にしたい場合は、エネルギーゼリーなど胃に負担の少ないものを選びましょう。

運動後:早めに回復の準備を始める

運動後は、使ったエネルギーの補給のための糖質と、筋肉の修復のためのたんぱく質を摂ることが大切です※4。もしすぐに食事が摂れない時は、おにぎりと牛乳、サンドイッチとヨーグルトといった手軽な補食を摂り、次の食事で5つのカテゴリーをそろえることを意識してみてください。

1日の流れで考える

エネルギーを多く必要とするアスリートは、3食だけで必要な量を摂りきれないこともあります。朝食を抜かずに1日3食を基本とし、足りない分は補食で補いましょう。「3食+補食」の形にすると、1回あたりの量を増やしすぎずに、1日に必要なエネルギーと栄養素を確保できます。

1日の流れで考える「3食+補食」。朝食・昼食・夕食の間に、朝食の量が少ない場合、昼食から練習まで時間が空く場合、練習後から夕食まで時間が空く場合に補食を摂る

6.まとめ

スポーツ栄養の基本は、運動に見合った量を、5つのカテゴリーをそろえた内容で、運動に合わせたタイミングで食べることです。

  • 運動で使った分だけ、食べる量を増やす
  • 毎食、「主食」「主菜」「副菜」「果物」「牛乳・乳製品」の5つのカテゴリーをそろえる
  • 運動時間に合わせて、栄養摂取のタイミングを決める

参考文献

  1. 厚生労働省. (2024). 「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定検討会報告書
  2. van Wijck, K. et al. (2012). Am J Physiol Gastrointest Liver Physiol, 303(2), G155-G168.
  3. Costa, R. J. S. et al. (2017). Aliment Pharmacol Ther, 46(3), 246-265.
  4. Thomas, D. T. et al. (2016). J Acad Nutr Diet, 116(3), 501-528.

この記事について

aiwell 栄養サポートチーム

管理栄養士・公認スポーツ栄養士

Jリーグクラブのサッカー選手から、バスケ・ラグビー・アメフトまで、スポーツ現場での栄養指導の実績があります。血液検査と食事調査をもとに、選手一人ひとりに合った栄養指導をしています。

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